Zcashとは?(ZEC)
初心者ガイド
非公開の暗号資産としてよく知られているZcash(ZEC)は、暗号資産のユーザーに取引時の任意の匿名性を提供するため、暗号技術の進化を利用しています。
Zcash以前は、暗号資産はビットコイン(BTC)のようにほとんどが偽名を用いるように設計されていました。そのため、ユーザーの取引総額、資産の送付先アドレス、資産の受領元アドレスについてのデータは常にブロックチェーンに記録され、誰でも確認できました。
つまり、暗号資産はプライバシーに配慮されたものだと言われていますが、デフォルトではそうではありませんでした。企業、政府、はたまた極悪なアクターのどれでも、取引を実行した個人にまでたどることができます(ときにはそれが実行されます)。
Zcashは、2016年に立ち上げられ、「保護されたアドレス」を採用して、高レベルの秘匿性を提供しました。これは、取引とアドレスを暗号化してブロックチェーンに保管するよう設計されたものです。
それでも、Zcashは、透明アドレス(ブロックチェーン上に表示されます)と保護されたアドレス(ブロックチェーン上には表示されません)の2種のアドレスを提供しで、匿名性のレベルを希望に応じてユーザーが選択できるようにしました。
ユーザーは、この2種のアドレス間でも取引を送付できますが、匿名性についての配慮がさらに必要になります。
Zcashの開発者は?
Zcashの歴史は、2013年のZerocoinホワイトペーパー(マシュー・グリーン教授およびエリ・ベン-サッソン教授と多数の暗号作成者ならびに研究者が作成しました)の公開まで遡ります。
この作成者たちは、ビットコインの設計ではユーザーの匿名性が侵害されると信じており、それに対応する新たなソリューションを提案したのです。しかし、このプロジェクトには限界がありました。1つには、Zerocoinはビットコイン用に設計されていたため、ビットコインのブロックチェーンに多数の複雑な変更が必要だったでしょう。
2015年に、暗号作成者のズーコ・ウィルコックスがこの研究を進展させ、Zerocoinの背後にある着想を新しい暗号資産の開発に利用する方法を探究するスタートアップを設立しました。
Zcashは、2016年に公表され、同年10月に公開されました。
Zcashのローンチ方法は?
Zcashブロックチェーンは、その最先端の暗号資産を使用可能にするため、他の暗号資産とは異なる独特の方法でセットアップしなければなりませんでした。このプロセス(「Zcashのセレモニー」または「Zcashの信頼できるセットアップ」と呼ばれます)が、このプロジェクトに対する多くの批判者の攻めどころになっています。
その一例として、Zcashのクリエイターは、世界中の人々が基本的にマスター公開鍵であるものを秘密鍵のシャードを使って協力的に作成してくれるものと信じる必要があったということがあります。
参加者は、その後、将来の侵害から守るため、残っているデータを破壊するように指示されました。(詳細はこちらでご覧になれます)
そのような手法には、理論的には安全であっても、セレモニーが意図のとおりに実施されたということは誰にも証明できないという欠点があります。(この問題のとらえ方は依然としてさまざまにあります。)
ズーコ・ウィルコックスがCEOを務めるElectric Coin Companyは、2020年に、Zcashブロックチェーンの開発を担当する暗号作成者を大量に雇用しました。さらに、この研究は、非営利団体Zcash Foundationの支援も受けています。
両グループとも、Zcashプロトコルの新しいZECのリリースから、その財源の一部を調達しています。
Zcashが非公開であるために何が必要?
Zcashの秘密の構成要素は、暗号化技術です。これによって、個人データを所有する人物が、その検証をしたい他の誰かに、真偽を明示する以外になにも明かさずにこのデータが真であると納得させることができます。
これを実現するため、Zcashでは、保護された取引にゼロ知識証明の変種であるzk-SNARKを使用します。
これによって、次のことが保証されます。
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ベリファイヤーは、データについて、真偽を除いて何も知ることがありません。
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証拠のサイズは、数ミリ秒で十分検証できる小さいものです。
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プルーバーとベリファイヤーの間の連絡は一切ありません。
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プルーバーが、ベリファイヤーに偽情報を提供することは不可能です。
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証明のため検証可能な情報がない限り、プルーバーは情報を証明できません。
こうした特性を提供することで、保護されたアドレス間のZcash取引は、強力な匿名性をユーザーに保証していると言えます。
「Zcashの仕組みは?」
Zcashはその匿名性を別にすれば、他の暗号資産と同様に動作します。
Zcashの保護された取引も保護されない取引も、ノードによって検証され、ブロックチェーンに記録されます。コンピューターのオープンネットワークにより、Equihashというアルゴリズムでブロックが追加されます。これによって、マイナーがブロックチェーンの安全確保専用に振り向けるRAMの量が計算されます。
この設計は、それに特化したマイニング設備の影響を緩和するため、小型のコンピューターでもリワード(報酬)獲得のための競争力を確保できます。(ただし、2018年現在、大規模マイニングビジネスにより、Zcash専用のマイニングマシンが開発済みです。)
Zcashのもう一つのあまり知られていない特質は、暗号資産を分配済みに設定する方法でした。
このブロックチェーンの運用期間のうち初期の4年間は、ブロックリワードの80%がマイナーに行くようにプログラムされ、残りの20%がElectric Coin Company、Zcash Foundation、重要な従業員とステークホルダーに割り当てられていました。
この助成金は、大体プロトコルの最初の「半減期」にあたる2020年に有効期限が切れることになっていました。この半減期にはプロトコルが生成できる新規のZECの供給量が削減されます。
2020年初期の段階で、こうした会社のリワード割り当て期間を延長する投票は実施されていません。
なぜZECに価値があるのか?
ZECは、ビットコインのコードをコピーして修正したものであるため、BTCに価値をもたらす特性を多数受け継いでおり、デジタル通貨として通用可能になっています。
BTCと同様に、ZECの総流通量が2,100万枚を上回ることはありません。また、マイニングと呼ばれるプロセスで新しいZECも導入されます。この場合、コンピューターがパズルを解くためにパワーを割り振り、うまく解いたコンピューターがZcashブロックチェーンにブロックを追加します。
Zcashは、プライバシー機能の上乗せにより、目に見えて価値が高くなると言えるのです。
一部の投資家は、プライバシー重視の暗号資産を大きな暗号資産クラスのサブセットと見て、この見込みにポートフォリオの一部分を割り当てています。
その論点は、暗号資産市場の成長につれて、より多くのユーザーとアプリケーションが、Zcashブロックチェーンのような高い秘匿性を備えた選択肢を取り込むか探究するだろうという点にあります。
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ZECを利用する理由
Zcashの将来は、他の暗号資産と同じく、予測困難です。しかし、Zcashが開発からそれほど長い時間が経っているわけではないのに、多様なグループの注意を引きつけていることに注目すべきでしょう。
たとえば、イーサリアム(ETH)は、テクノロジーにZcashの秘匿機能を組み込もうとしてきました。
また、JP Morganのような主要な金融機関も、さまざまなブロックチェーンソフトウェアにZcashの技術を組み込んでいます。そうすることで、ブロックチェーンを使用する場合の事業上の要件や規則に準拠した状態を維持できているのです。
それでも、Zcashは、採用範囲の広さという点で障害に直面しています。
Zcashブロックチェーンは、関係する計算のために他の暗号資産よりもかなり大きくなります。つまり、ネットワークの分散化について懸念があります。
GRIN、BEAM、XMRなどの競合する秘匿性重視の暗号資産も同様に使用できるうえ、こうしたライバル(またはさらに他の選択肢)がプライバシー志向のユーザーの好むオプションを提供することを証明するかもしれないのです。
さらに、Zcashのようなテクノロジーが犯罪者に悪用されるかもしれないと恐れているレギュレーターからの反発もありました。その結果、これまでに一部の取引所が、法的地位についての疑問のため、ZECと他の秘匿性重視の暗号資産の取引を中止するに至っています。
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それでは次のステップに進み、Zcashを購入してみましょう。