Kraken
btc

Taprootとは?

Taproot Bitcoinアップグレードの導入ガイド


TaprootはBitcoinのアップグレードで、ネットワークのプライバシーと効率の向上を目指したものです。Taprootは、2017年のSegregated Witnesses(SegWit)以来、4年ぶりのBitcoinのアップグレードです。

Taprootアップデートには、BIP340(BIP - シュノア)、BIP341(BIP - Taproot)、BIP342(BIP - Tapscript)の3つのBitcoin Improvement Proposals(BIP)が包括的に含まれています。 

BIP - シュノアには、迅速かつ安全でデータインテンシブが低い取引承認方法「シュノア署名」が採用されています。また、BIP - シュノアでは、BIP - Taprootも使用可能です。これは、「MAST」と呼ばれる技術を使って、blockchainに投入されるスマートコントラクトの取引データを少なくする一方、非公開取引の一部の情報を隠すものです。最後に、BIP - Tapscriptは、Bitcoinに、シュノアとTaproot技術を利用するよう改良された取引プログラミング言語を装備するものです。また、Tapscriptにより、開発者は、Bitcoinの将来のアップグレードをより効率的に実行できるようになります。

Taprootは、2018年1月に、Bitcoinのコア開発者グレゴリー・マクスウェルによって提案されました。この提案は多数のBitcoinマイナーから幅広い支持を集め、2021年6月12日に実装のための合意がなされました。Taprootは、2021年11月14日に、ブロック709,632で有効化されました。

taproot bitcoin

btc

Bitcoin取引の機能の仕方は?

Taprootアップグレードの重大性を理解するために、現在、Bitcoin取引がどのように行われているかを知る必要があります。Bitcoinウォレット機能では、従来からの銀行口座と同様に、ウォレット内に保存された資産にアクセススには、「口座番号」と「パスワード」の両方が必要です。ユーザーは、ウォレットの新規作成時に、独自の暗号鍵(公開鍵と秘密鍵)を作成します。これによってBitcoinの送付と受領が可能になります。公開鍵は「口座番号」の役割を果たし、秘密鍵が「パスワード」のように働きます。

秘密鍵は、取引とコイン送付用アカウントを認証するための暗号署名を作成することができます。これによって、悪意のある人物がコインを盗んだり資産を悪用したりすることを防止します。

取引の実行と検証には、取引詳細と秘密鍵から得られる暗号署名が必要です。だれでも、blockchain上でこの証明を確認し、その真正性を独自に検証することができます。

btc

Taprootの説明


Taprootアップグレードは、3つのBIPを実現します。

BIP340 - シュノア署名技術は、コンパクトで安全性が高く柔軟なタイプの暗号署名を実現します。また、「キーアグリゲーション」と呼ばれる手法を採用し、マルチシグネチャーの取引(単一の取引に複数の当事者が裏書きします)を可能にし、スマートコントラクト(取引の実行には事前に取り決めた条件を満たす必要があります)が標準的なシングルシグネチャーの取引と同じ量のデータをBitcoin blockchainに投入できるようにします。シュノア署名を使うことで、公開鍵のすべてと、関係する参加者全員の署名ではなく、単一の集約公開鍵と単一の集約鍵をともに記録できます。その結果、blockchainの負荷が軽減され、取引内の裏書人が単独でも複数でも、オブザーバーが暗号を解読できないようになります。シュノア署名は、Bitcoinが開始以来使用してきた暗号化アルゴリズムである楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(ECDSA)と後方互換であることに注意が必要です。これにより、取引所、カストディアン、およびウォレットなどのサービスプロバイダーが、いつかはアップグレードをオプトインすることができます。

BIP341 - Taprootは、Bitcoinの最新アップグレードSegWitのプライバシーの革新技術を基に、Merklized Alternative Script Trees(MAST)を実装しており、他に可能なあらゆる結果の全詳細ではなく、スマートコントラクト取引の実施条件のみがblockchainに投入されるようになっています。Merkle treeは、暗号化技術において、データセット全体を明らかにすることなく、セット内にデータがあることを証明する方法として広く使用されています。Taprootは、実行済の取引の詳細のみを明らかにすることによって、Bitcoinユーザーのプライバシー保護を強化します。Taprootを適用することで、チェーンをオーディットする人は、使用されたウォレットの種類などデリケートな個人情報を含むおそれのある未実行の取引条件や取引結果の閲覧ができなくなります。また、MASTにより、未実行の取引情報がblockchain内に記録されることがなくなるので、スケーラビリティ、取引処理量、および効率も向上するはずです。 

BIP342 - Tapscriptは、アップデートをオプトインする人のために、シュノア署名とTaprootの技術に対応する目的で、Bitcoin取引のパラメーターの記述に使用するスクリプトのコーディング言語をアップデートします。また、Tapscriptによって、新しいタイプのオペコード(取引指示)がシームレスに採用できるようになり、Bitcoinの将来のアップデートの実装が容易になります。

btc

Taprootの影響


このテクノロジーを採用するサービスプロバイダーが増えるにつれ、Taprootの効果は今後数年間で全面的に証明されるでしょうが、一方で、このアップグレードの改良が徐々に進めば、Bitcoinが長期的に生き残るために大きな役割を果たすことが予想されます。

Taprootには、プライバシーと効率に関して表裏一体の長所があります。blockchainでの取引情報の処理量を少なくすると、公開されているBitcoinの明細を確認する人が利用できる取引データが少なくなります。処理するデータ量が少ないということは、各ブロックの取引用のスペースが大きくなるということでもあることから、手数料が下がり取引の処理量が増大するはずです。

また、TaprootはBitcoinのスマートコントラクトの柔軟性強化の扉を開きます。長年、複雑なスマートコントラクトの作成と他のblockchainネットワークでの実行が容易だったとはいえ、Taprootはblockchainネットワーク上で分散型金融(DeFi)を加速するために必要な技術的基盤になると期待されています。Bitcoinは、Taprootを実装することで、全参加者を秘匿して単一署名の取引を記憶しつつ、数万もの署名者を持つ大規模なスマートコントラクトをホストできます。

また、Taprootのアップグレードにより、Lightning Networkがさらに効率的で迅速なものになれるはずです。TaprootがLightning Networkとの組み合わせにより、Bitcoinの有用性が「価値の保管」から「交換媒体」に進化し、さらに、Bitcoinが真のピアツーピア(P2P)デジタルキャシュであることが証明されると考える人もいます。

TaprootがBitcoinに持ち込むアップグレードは重要ですが、おそらくはTaprootの最も重大で長く続く影響は、それがどういうものかということではなく、実装の仕方になるでしょう。4年前にBitcoin Cashの誕生につながった悪名高いブロックサイズ戦争以来、Bitcoinのプロトコルに初めて大規模なアップデートを行ったTaprootは、今後数年間に、BIPが観念から実現へとどのように発展するかという運用基盤を確立することになりそうです。

Taprootアップグレードについて詳しく知りたいですか?Kraken Intelligenceの「Taproot Primer-記念すべきアップグレード」をダウンロードしてください。

 

btc

Bitcoinを購入してみる

それでは次のステップに進み、Bitcoinを購入してみましょう。